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会談

外国人の不法就労は問題となっていますが、外国人従業員だけではなく雇用主も罰則対象となるため注意しなければいけません。ここでは、出入国管理庁が推奨している適切な外国人雇用方法をご紹介します。ぜひ、外国人の不法就労の防止に役立ててください。

不法就労外国人対策等協議会「外国人の不法就労の防止に関するお願い」によると、2019年に出入国管理及び難民認定法違反により退去強制手続きを執った外国人1万9,386人のうち、約66%の1万2,816人が不法就労の事実が認められました。

身分や活動目的を偽り在留する偽装滞在者や、難民認定制度を就労目的で悪用するなど手口は巧妙化しています。不法就労件数が増加すると、日本の治安にも悪影響を及ぼします。

そのため、不法就労外国人を雇用した事業主も「不法就労助長罪」が科せられるので、不法就労について理解を深めましょう。

外国人不法就労と罰則

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外国人不法就労は社会問題になっています。不法就労した外国人従業員と雇用主側には、どのような罰則が科せられるのでしょうか?ここでは、外国人不法就労の罰則について解説します。

外国人従業員に科せられる罰則

不法就労をした外国人従業員は「不法残留罪」に該当し、入管法違反として3年以下の懲役もしくは禁錮、300万円以下の罰金に処されることがあります。
また、就労が認められない在留資格を保有している外国人や、上陸許可を受けていない外国人が就労していた場合は、本人退去強制等に処されます。

雇用主側に科せられる罰則

不法就労外国人を雇用した場合は、雇用主側も「不法就労助長罪」が科せられる可能性があります。不法就労助長罪は、不法就労を手助けする行為のことを指し、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されることがあります。不法就労助長罪の免責となるように、適切な方法で外国人を雇用しましょう。

補足:偽造在留カードを所持する外国人を雇用した場合

身分や活動目的を偽り在留する偽装滞在者は増加しています。偽造在留カードを所持する外国人に騙されて雇用した場合も、不法就労助長罪に問われてしまうため注意してください。
しかし、出入国管理及び難民認定法73条の2第2項では、不法就労活動に至った経緯について、雇用主側に過失がない場合は責任が問われないとされています。
偽造在留カードであるのを知らなかったことを理由に、不法就労助長罪を免れることはありませんが、雇用契約時に過失がなければ免責されるのです。

外国人不法就労を防止する5つのポイント

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不法就労で雇用主側が罰則を受けないためにも、出入国在留管理庁が推奨する方法で、雇用契約を締結しましょう。

手順1:在留カード番号が失効していないかを確認する

免許

(出典元:出入国在留管理庁「在留カードとは?」)
出入国在留管理庁ホームページでは、在留カード番号の失効情報を確認することができます。「在留カード等番号失効情報照会」が設置されているため、在留カード番号を入力して失効していないかを確認してください。

手順2:在留カード「就労制限の有無」を確認する

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(出典元:出入国在留管理庁「在留カードとは?」)
就労制限の有無の欄に「就労不可」と記載されている場合は、原則雇用はできません。(※一部就労制限がある場合は雇用できます。(手順3で説明))
「就労制限なし」の記載がある場合は、就労内容に制限はなく雇用できます。
「在留資格に基づく就労活動のみ可」や「指定書により指定された就労活動のみ可」と記載されている場合は、法務大臣指定書を確認してください。

手順3:カード裏面「資格外活動許可欄」を確認する

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(出典元:出入国在留管理庁「在留カードとは?」)
手順2で「就労不可」と記載されている場合でも、カード裏面「資格外活動許可欄」に以下の記載がある場合は就労できます。

・許可(原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く)
・許可(「教育」「技術・人体知識・国際業務」「技能」に該当する活動・週28時間以内)
・許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)

手順4:在留カードの交付を確認する

後日、在留カードが交付される外国人もいますが、「旅券」に後日在留カードを交付する旨が記載されています。
仮放免許可書を見せて「後日、在留カードが交付されます」と述べる外国人もいますが、仮放免許可書は入管法違反の疑いで退去強制手続き中であるか、既に退去強制が決定している外国人に発行される書類です。不法就労の手口は巧妙化しているため、騙されないために外国人を雇用する際の知識を深めておきましょう。

手順5:偽造在留カードであるかを確認する

出入国在留管理庁では、偽造在留カードの特徴について紹介しています。MOJの周囲の絵柄の色や顔写真下のホログラムが変化しません。しかし、偽造技術は巧妙化しているので、これらを確認しても騙されてしまう場合もあるでしょう。
2020年1月には、偽造在留カードを見破るアプリ開発を行うことが発表されました。外国人の雇用を考えている方は、出入国在留管理庁の動向をチェックしておきましょう。

まとめ

今回は、外国人不法就労について解説しました。外国人従業員側が強制退去されるだけではなく、雇用主側も「不法就労助長罪」に問われてしまうため、注意しなければいけません。
不法就労の手口は巧妙化していますが、雇用主側も知らなかったでは同罪となります。そのため、適切な手順で契約手続きを進めてください。