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2020年1月に厚生労働省が公表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ」では、外国人労働者は165万8,804人で、前年146万463人から13.6%増加しました。また、外国人労働者を雇用する企業は、24万2,608件で前年21万6,348件から12.1%増加。

在留資格別に見ると「技能実習(24.5%増)」「専門的・技術的分野の在留資格(18.9%増)」と専門知識を持つ優秀な外国人労働者の雇用が顕著です。なぜ、外国人労働者を雇用する企業が増えているのでしょうか?本稿では、外国人を雇用するメリットについて解説します。

外国人雇用の5つのメリット

外国人雇用
外国人労働者を雇用する企業が増えていますが、どのような効果が得られるのでしょうか?ここでは、外国人雇用のメリットについて解説します。

1.優秀な人材が採用できる

少子高齢化に伴い、国内の優秀な人材の母数は減少しています。そのため、優秀な外国人労働者の採用に注力する企業が増えてきました。とくに、語学力より技術力が優先されるエンジニアやデザイナーは、先進国であるアメリカやIT技術が急成長している中国から雇い入れる企業が増えてきています。
外国人労働者も優秀な人材が多いため、外国人労働者が増えて日本の雇用が奪われてしまう可能性も大いにあり得るでしょう。それほど、優秀な外国人労働者は企業の即戦力となるのです。

2.海外進出先の情報が得られる

海外進出で成功するためには、進出国の文化や慣習、法規について理解を深めなければいけません。これらを自分自身で調べる場合は、莫大な労力がかかります。
しかし、進出国の事情に精通した外国人労働者が雇用すれば労力を省けます。また、海外進出の架け橋となる人材に育成も可能です。実際に、海外支社の幹部候補生として外国人労働者を雇用する企業も多いです。

3.組織活性化が狙える

日本で就職を検討する外国人は勤勉な方が多く、新しい環境に適応するために努力を惜しみません。日本語の習得力や柔軟性のある対応ができ、適応力が高い外国人が多いです。このような外国人労働者を雇用することで、職場に良い影響を与えることができます。
外国人労働者が一生懸命に努力しているのだから、自分も努力しなければいけないと、従業員の意欲を湧かせることができるのです。

4.異なる視点の発想が聞き出せる

異なる国で育った外国人労働者を雇用すれば、文化的衝撃を受けることもあるでしょう。母国文化の常識と掛け離れた常識や知識に触れられます。外国人労働者から聞ける情報は新鮮味があり、新しいアイデアが生まれるキッカケにもなります。
また、職場に外国人労働者がいることで、異文化交流が始まり、異なる視点で物事を考えられるようにもなるでしょう。外国人のモノの見方で、これまでとは異なる別の方法が生まれて、業務効率化が行えるケースも多いです。

5.人件費を安く抑えられる

最低賃金法は、外国人労働者にも適用しなければいけませんが、外国人労働者の平均賃金は安いです。2020年3月31に発表した「賃金構造基本統計調査」によると、外国人労働者の平均賃金は月額22万3,100円でした。日本人労働者の平均賃金が月額30万7,700円のため、全体の約7割の水準です。
また、技能実習生の平均賃金は15万6,900円となっており、日本人労働者の半分で雇用ができます。このように、外国人労働者を採用すれば、人件費を安く抑えることができるのです。

外国人雇用の3つの課題

外国人雇用の課題
外国人労働者を雇用すると、さまざまな効果が得られますが、想像以上に大変で苦戦する企業も少なくありません。どのような点で苦戦するのでしょうか?ここでは、外国人雇用の3つの課題点をご紹介します。

1.応募者の能力が適切に判断できない

外国人労働者の能力がどれぐらいあるのか判断できないと、不安に感じる企業も少なくありません。このような不安を抱く企業は多いため、インターンシップ制度が採用されているのです。
インターンシップでは、外国人留学生と企業間における相互理解の促進が図れます。このような制度を試験的に採用することで、外国人労働者をどのように位置付ければ良いかが見えてくるでしょう。

2.ビザ申請などの雇用手続きが煩雑

外国人労働者は、ビザ申請などの雇用手続きが煩雑しています。また、手続きを誤ると法律違反行為に該当して罰則対象になることもあります。
例えば、外国人労働者も国民年金に加入しなければいけません。しかし、将来的には母国に帰国することを理由に、国民年金の加入を拒む外国人労働者もいます。このような外国人労働者の説得もしなければいけません。
このように、外国人雇用手続きは煩雑しており、非常に手間が掛かってしまうのです。

3.ロールモデルがないため教育が難しい

外国人労働者は日本語が話せますが、漢字や敬語表現で躓きがちです。そのため、日本人労働者と異なる教育方法を模索しなければいけません。しかし、ロールモデルがある企業は少なく、どのように教育を行えば良いか分からないと悩んでしまう企業も多いです。

まとめ

今回は、外国人雇用のメリットについて解説しました。外国人労働者を雇用する企業は、24万2,608ヵ所で前年21万6,348ヵ所から12.1%増加しました。優秀な人材の採用や海外進出の架け橋となる人材の採用を目的に外国人を採用する企業が増えているのです。
しかし、雇用手続きや教育などの課題があり、外国人の採用を躊躇している企業もいます。もし、外国人労働者雇用の一歩が踏み出せない場合は、外国人労働者の雇用の支援機関であるグローウィル事業協同組合までご相談ください。